生活習慣、学力に影響、文科省が学テ分析

生活習慣、学力に影響、文科省が学テ分析、
本・新聞、則正しい生活→好成績に、家庭環境の格差、克服も!

 

規則的な生活を送り、本や新聞などに親しむ子どもは、親の年収や学歴が低くても、学力が高い傾向にあることが平成30年6月27日、文部科学省が公表した平成29年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)結果の分析から明らかになった。それによると、日ごろから本や新聞に親しんだり、規則正しい生活を促したりしている家庭の子供は、親の収入や学歴が高くなくても好成績の傾向があることがわかった。家庭環境による子供の学力格差が指摘されるなか、取り組み次第で不利を克服できる可能性があるという。

小学6年と中学3年の国語、算数・数学の成績と、抽出校の保護者約14万人へのアンケートを分析。保護者の年収や学歴など家庭の社会・経済的背景を指標化して4階層に分け、テストの平均正答率と比較した。

前回の13年度の調査結果と同様に、いずれの教科でも階層が高くなるほど正答率も高かった。最も差が出たのは基礎知識を問う中3の数学A。最も高い階層の正答率は77・1%だったが、最も低い階層の正答率は52・8%だった。

一方で、最も低い階層でも学力が全体の上位25%に入った子供の家庭で、「小さいころ絵本の読み聞かせをした」「本や新聞を読むように勧めている」「毎日朝食を食べさせている」「計画的に勉強するよう促している」などの質問に「当てはまる」と回答した割合は、学力が上位でない家庭よりも5・8~12・0ポイント高かった。親の収入や学歴に関係なく、生活の習慣や親の意識が子供の学力に影響を及ぼす可能性があることを示している。

自制心や意欲、忍耐力を表す「非認知スキル」と呼ばれる子供の能力と、正答率の高さには緩やかな相関関係があり、中3より小6の方にやや強く表れた。非認知スキルと家庭の社会・経済的背景にはあまり相関関係がみられなかった。  調査に参加したお茶の水女子大の耳塚寛明教授は「福祉や所得の再分配、雇用の政策が伴わないと学力格差の緩和・解消はできないが、教育施策が全く無力ということではない。結果から分かった(学力格差を克服する)取り組みを進めることはできる」と指摘している。

全国学力テストは07年度から小6と中3の全員を対象に実施。国語と算数・数学のほか、3年に1度は理科が加わる。中3は19年度から英語も3年に1度程度実施する予定としている。

保護者の学歴・収入が低くても子供の学力が高い家庭の特徴

  ○毎日朝食を食べさせている  ○本や新聞を読むように勧めている

  ○小さい頃絵本の読み聞かせをした  ○計画的に勉強するよう促している  ○PTA活動や保護者会などによく参加する